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シュメール文明のすごいところ7選

シュメール文明のすごいところ8選

Photo credit: zeevveez via Visual Hunt / CC BY

みなさんはシュメール文明をご存知だろうか。

シュメール文明は突如現れた謎の文明でありながら、現代につながる多くの文化的遺産を遺した。

1週間が7日なのも、1分が60秒なのも、シュメール文明が発祥だ。旧約聖書のバベルの塔などの逸話も、シュメール文明と関連がある。

今回はこんなシュメール文明の、凄いところを7点紹介する。

 

目次

はじめに シュメール文明とは

チグリス川とユーフラテス川の間に、メソポタミアという地域があった。
メソポタミア文明とは、その地域を中心に栄えた文明の総称だ。

中でも、メソポタミア文明の最初期に繁栄したのが、シュメール文明(紀元前3500年-紀元前2000年)だ。

シュメール文明は出自不明の謎の民族でありながら、後の文明に続く、多くの発明を遺した。

メソポタミア - Wikipedia

1. 60進法

現代では1分は60秒であり、1時間は60分であるのが常識だ。この60進法の紀元を辿ると、なんとシュメール文明に行きつく。

シュメール文明では農耕が盛んで、天文学や暦学が発達していた。
そんな中、1年を12ヶ月として扱う方法を発明したシュメール文明では、12の約数や倍数が都合よかった。

そこで、60進法が使われるようになったのだ。

六十進法 - Wikipedia

2. 知識こそ宝

シュメール神話には、『メ』という宝物が登場する。

神々はメを求め、争奪戦を展開させる。このメとはなんなのか、神話上には明確な記述がない。
身につけたりかむったりするもののように描かれることもあれば、形のない、歌のような描かれ方がされることもある。

この至宝『メ』の実体についてだが、実は、形のない知識そのものであったようだ。
つまり、メとは一連の知識や知恵の体系であり、口承される形で伝えられるものだった。

『中央新書 シュメル神話の世界 粘土板に刻まれた最古のロマン 岡田明子 小林登志子著』より

3.  天文学と七曜制

シュメール人は農耕をしていたため、川の氾濫時期や収穫時期を正確に知る必要があった。

そのため、28日をかけて変化する月の満ち欠けを基準に日を管理する方法を考えた。
月の状態を4つに分けると、新月、満月、上弦、下弦となる。それぞれの期間を7日と想定すると、ちょうどよくなるため、これを1週間とした。

シュメール人が確立した、この太陰暦的な考え方は、近代でも生活に根付いている。

4. ギルガメシュ叙事詩

ギルガメシュ叙事詩とは、ギルガメシュという王が、永遠の命を求めて各地を冒険する物語だ。

この物語については、シュメール時代の遺物から、徐々に解読が進んできた。
世界最古とも呼べるこの物語は、友情あり愛情あり、バトルや政略もある、一大ロマンとして近代でも知られている。

主人公はウルク第一王朝の第五代目の王である、ギルガメシュだ。
彼はライバルであり盟友であるエンキドゥとともに、世界を冒険する。
森の魔物であるフンババをはじめ、多くの神々や人物が登場する、波乱万丈な物語となっている。

ギルガメシュ叙事詩 - Wikipedia

 

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Photo credit: gordontour via VisualHunt / CC BY-NC-ND

5. 旧約聖書の元ネタ多数

旧約聖書には、シュメール文明との関連を思わせるエピソードが記されている。

ソドムの町とゴモラの町

旧約聖書では、ソドムの町とゴモラの町は、神の怒りに触れて滅ぼされたとされている。

この元ネタは、シュメール文明の時代に観測された、小隕石の衝突ではないか、という説があるようだ。

聖書の都・ソドムとゴモラが消滅した原因が判明?!~古代ニネヴェの遺跡の石板に滅亡の真相が隠されていた? | 謎カレンダー

バベルの塔

旧約聖書に登場するバベルの塔は、神に近づこうとした人間の悲劇の舞台だ。
このバベルの塔のモデルとなったのは、シュメール時代に多く建造された神殿である、ジクラトであるという説がある。

ジッグラト - Wikipedia

ノアの方舟

旧約聖書においては、神が発生させた洪水から逃れるため、ノアは大きな方舟を作り、あらゆる動物のつがいを乗せて、難を逃れたとされている。

このノアの方舟の物語は、ギルガメシュ叙事詩に登場する、ウトナピシュティムの方舟の物語に共通している点がある。

ノアの方舟 - Wikipedia

アブラハムの故郷

旧約聖書にはイスラエル民族の始祖であるアブラハムが登場する。

このアブラハムの故郷は、メソポタミア南部の、ウルという都市であった。

ウル/メソポタミアの古代都市 - 聖書と歴史の学習館

6. 都市文明

シュメールは都市文明だった。

ウルやウルクやラガシュなどの都市があり、それぞれの都市に守護神が祀られていた。
都市の王は神々の名において、都市を支配していた。

巫女たちは祭事を通して神々と交信し、都市の繁栄を祈ったとされている。

都市には強固な城塞がそびえ、戦争になれば弓や槍で武装した兵が戦った。

原始的な段階だとしても、政治や軍事や人々の生活環境は、一定レベル以上に整備されていたと言える。

7. ウルナンム法典

シュメール文明には、世界最古の法典とされる、ウル・ナンム法典がある。
バビロニアのハンムラビ法典は、『目には目を、歯には歯を』で知られる同害復讐法だが、ウル・ナンム法典は損害賠償の考え方になっている。

ウル・ナンム法典 - Wikipedia

番外. シュメール神話とSF

シュメール神話には、天空神アヌを頂点とする、多くの神々(アヌンナキ)が登場する。

これらの神話は出土した粘土板に書かれていた。
また粘土板には、神話以外にも当時の文明レベルを知る手がかりが記されていた。

その中でも、シッチンという研究者は、以下のようなことが、遺物から読み取れることを発表した。

・神々は別の惑星からやってきて、猿と自分たちの遺伝子を合わせて人間を作った
・肉眼では見ることのできない冥王星や海王星について、知識があったと思わせる点があった
・ニネヴェという都市で見つかった粘土板群から、ニネヴェ定数という甚大な数値(195兆9552億)が出てきた。この数値は、地球の歳差運動の周期で割り切れると同時に、様々な惑星の公転周期で割り切れる数だった。本当だとすると、古代人が先端的な天文学の知識を有していたことになる

これらの信憑性については諸説あるため慎重になるべきだが、トンデモSF的なおもしろさはある。

まとめ

今回は、古代シュメール文明の注目すべきポイントを紹介させてもらった。
はるか昔のシュメール文明は、近代につながる様々な遺産を作り上げた文明だったのだ。

僕は以前から人類の文化史に興味があり、独自に色々調べてきた。
そこで行き着いたのがこのシュメール文明だった。

もし興味があったら、みなさんもシュメール文明やメソポタミア文明について触れてみて欲しい。

以下に、参考にした書籍を挙げておく。




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