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人工知能に仕事を奪われた人類には、4種類の仕事が残される

人工知能に仕事を奪われた人類には、4種類の仕事が残される

シンギュラリティ(技術的特異点)が訪れるとされる2045年に向けて、人間の仕事がロボットや人工知能に奪われてゆくのではないか、と世間で問題視されている。
僕はそれを一部肯定すると同時に、新たに生まれる4種類の仕事を想定している。
 

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シンギュラリティ(技術的特異点)と人工知能

2045年までにテクノロジーが革新的な進歩を遂げ、社会を変容させるという説がある。そして、この説はシンギュラリティ、または2045年問題と呼ばれている。
また、人類がシンギュラリティへ到達する過程で、人工知能技術(AI)が中核の要因のひとつになっている。
近年、人工知能は目覚ましい進化を遂げ、産業や生活の中で存在感を強めている。
そんな人工知能がいずれ、人間の仕事を奪ってしまうのではないか、と危険視されているのだ。

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人工知能が人間の仕事をサポート・代替する事例

以下のような事例において、人工知能が人間の仕事を肩代りしはじめる可能性を感じた。

弁護士アシスタント

www.huffingtonpost.jp

LOHACOのAI「マナミさん」

bita.jp

Wantedlyのビジネスマッチング用チャットボット

ascii.jp

技術革新は職業のあり方を変えてきた

歴史の中では常に、技術の進化とともに職業のあり方も変化してきた。

産業革命

18-19世紀のイギリスで、製造業の機械化がはじまると、手工業による少量生産体制が廃れ、大量生産の時代が訪れた。
その結果、職人の仕事が減る代わりに、機械技師や大量生産の補助をする作業人員のニーズが生まれた。また、商品を流通させるための仕事も活性化した。続いて第二次産業革命がはじまる中、農業技術の発達や人口増加が起こり、世界の産業のあり方が変容していった。
さて、その一方で仕事を失った旧世代の職人たちは、どうなったのだろうか?
意地とプライドを捨てて、新しい種類の仕事をはじめたのだろうか?
あるいは、機械には真似できない、ハンドメイドならではの付加価値を追求したのだろうか。
いずれにせよ職人たちは、新しい生き方を余儀なくされた。これが現実だ。

IT革命

20世紀から21世紀にかけて、コンピュータの利用が拡大していった。
当初は銀行や企業での大規模なシステム導入が行われていたが、徐々にその間口は広がり、一般の会社や店舗でも業務システムが利用されるようになった。
やがて、インターネットの利用が本格的になると、インターネットを利用したサービスが生活インフラのひとつとなるに至った。
また、その過程で、流通や仲介を行う中間的な産業が縮小し、事務作業人員が削減され、代わりにコンピュータに関わる産業(コンピュータの利用や学習、ソフトウェアの開発や流通、インターネット関連、電子機器の開発や流通)が活性化した。
それと同時に、あらゆる産業にITが浸透し、パソコンが置かれていないオフィスはなくなった。
さて、そんな中で、IT革命に乗れなかった旧体質の事業体はどうなったのだろうか?
電卓を叩いていた事務方の人々はどこへいったのだろうか?
異動や退職などをし、それぞれの道を歩んだのだろう。
どちらにしても、社会はIT革命によって、変革の必要性を突きつけられた。

産業と技術革新

前述の例から考えると、「技術革新は従来の産業を変容させるとともに、技術開発や運用を行うための産業を生んできた」と言えるのではないだろうか。

人間がやるべき4つの仕事

シンギュラリティに向かって、人工知能の性能が向上してゆくと、定型的な仕事がますますロボットに置き換えられていくことになる。
それと同時に、以下の4種類の仕事のニーズが高まってくると考えられる。

1.ロボットを運用および教育する仕事

今後、様々な産業の現場でロボットの利用が促進してゆくだろう。
とはいえ、人間同等の柔軟かつ高度な人工知能が活用されているとは限らず、実際問題として、ロボット特有のコツを掴んだ上で現場で教育していく必要がある。
また、必要に応じてロボットの設定やチューニングをしていく必要が出てくる。(話しかける程度で設定できるだろうが)
具体的には、職場に一人以上、プログラミングやロボットの設定をできる人間が必要になるだろう。
同時に、ロボットを教育する人は、業務自体に熟達している必要がある。
そんなわけで、「業務を深く理解し、かつロボットの行動パターンや機械学習に理解がある」といった人材が求められるはずだ。
いずれにしても、現場の教育係が重宝されるのは変わらない。

2.高度な接客を追求する仕事

産業の生産的な部分や単純な部分はロボットによってまかなわれる。
しかし、消費者である人間が満足を得られなければ、ロボットが役に立っているとは言いにくくなってくる。
介護福祉、秘書業、接客業、癒やし関連、医療、学校の先生など、人間のふれあいや高度な伝達が重要になる仕事はロボットに置き変わりにくい。
そんなわけで、「人間に肉薄した領域で、センシティブなコミュニケーションを行う」ための仕事が重要になるはずだ。

3.芸術やスポーツやショービジネスの仕事

ロボットが芸術作品を創造する時代になるだろうが、それでも人間は、以下のような観念を持ち続ける。

  • 人間の存在意義として、「芸術や美を生み出して理解する力」を堅持したい
  • 生身の人間が表現するダンスや演劇や音楽演奏は、「生身の人間である」ということに意味があり、そこに共感できる

このような心理から、「ダンサー」「ミュージシャン」「画家」「スポーツ選手」「タレント」など、芸術やスポーツやショービジネスの仕事は、残り続けると思われる。

4.アイデンティティを追求する仕事

人工知能によって社会が便利になり、豊かになっていく中で、人間は現代よりも、文化の消失やアイデンティティーの消失を恐れるようになる。

合理性が追求されていくと古いものが衰退していってしまうのだが、その一方で、非合理なものが、人間のアイデンティティであったりするからだ。

同時に、「働く必要すらなくなってくる」ことで生活に余裕が出ることで人間は、「存在」の意義について考えることが多くなる。(哲学は暇人の親友だ)

すると、アイデンティティ探しと死生観の模索が目下の問題となってくる。

そこで、以下のような仕事が発展するはずだ。

  • 伝統工芸継承や古典的な仕事
  • 哲学や文学や思想に関する仕事
  • 宗教に関する仕事

まとめ

シンギュラリティの理論が提唱されてからも、技術はますます進歩を遂げている。
歴史の中では、技術革新により職業のあり方が変容し続けてきた。これからもそれは避けられないだろうが、その代わりに、新たなニーズが生まれてくる。
いずれにせよ、人間は自分の満足と尊厳のために生きている。また、そうある限り、広義の「仕事」はなくならない。

それではまた。

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